

「この図(左図)の中に、何個漢字を見つけられる?ぁあ、もう全然だめ(笑)。子どもたちだったら30個くらい、 ぱぱぱっと出るよ。 じゃあ、82×0.88は?5秒で答えて。はい、ぶぶー。」 |
飛び出してくる問い達は、突然この職場を教室に変えてしまった。 ![]() 宮崎稔さん。学校と地域の融合教育研究会 会長。 「まち」と「学校」をより濃く、くっつけた小学校の校長先生だ。 彼が仕掛けた、地域と学校の「融合」は、今なお全国から注目され続けている。 空き教室を開放し、学校の鍵は住民に手渡した。その結果、休み時間には、教 室でおばあちゃんが琴をひき、子どもがおじさんにパソコンを教える。そんな光 景があふれた。 ふと思うことがあった。 子どもにとって、高齢者や地域住民と接することは、無条件に「いいこと」なの だろうか。正直、子どものときは、面倒だと感じることの方が多かったように思う。 同じような話を聞くのは聞き飽きたし、面白いと思えるものが違っているように 感じて、大人と話すのって、なんとなく面倒くさかった。 宮崎さんは声を大にする。 生きてきた環境も違えば、価値観も違う。だからこそ、できることも、できない ことも違う。「できない、教えて」「こんなこともできるんだ」と違いを受け止め、 相手を認めてくれるひとがいて、初めて自信が育つ。「自尊」につながるんだ。 この自信がない状態、すなわち不安定な状態で、ひとは自ら動けない。 琴をひいているおばあちゃんの横で「私、リコーダー吹くね」と言い出せる女の 子にとっては、その時間はかけがえのない財産になる。 不審者に備えて「いかに学校を守るか」が叫ばれる今、開かれた学校が 地域に与えた影響は大きかった。不登校はなくなり、犯罪も激減。地域で お互いを知らなかった大人同士までもが、学校を通してつながりはじめた という。 当然、簡単に実現できたわけではなかった。 学校現場では、学校を地域に開放すること恐れていた部分もあったという。 しかし、宮崎さんはその状態こそチャンスととらえ、特に力を入れたのが、 情報の公開・発信「ひらくこと」だった。 なぜ、学校を「ひらいた」のか。 その答は、以前校長をしていた学校で始めたブログにあった。その学校で、 宮崎さんは日頃校長室にこもるのではなく、学校中を歩き回った。毎日更 新されるそのブログには、学校での事件から、先生と生徒のやりとり、給 食まで。あらゆる生の情報が「発掘」され、更新され続けた。事実だけでは なく、校長としての視点も加わることで、学校関係者から保護者まで、あら ゆる人が楽しみとするブログとなった。 「そんなことまで書くの?」と言われるほどに、学校を「ひらいた」結果、保 護者と学校現場の間に共通の話題が生まれ、次第にその驚きは信用へ と変わった。地域とのコミュニケーションは一気に増え、距離が縮まるど ころか、学校に地域が入り、地域に学校が入った。そこからさらに交流が 生まれた。 宮崎さんは、そう言い切る。 「能力を創る必要はない。能力が発揮できる場を創ること。」 この信念は ぶれない。 能力は創っていくものではなく、認めるもの。 出来る子、出来ない子がいるわけではない。 場さえ用意できれば、能力は勝手に花開く。 そんな信念が言葉の端々からにじみ出てきた。 こうした「場」を創るにはコツがあるという。 こっそり教えてくれたのが、この2つだ。 「ちょこっと○○できる場所を創ること」 「できる人が、できる範囲で、無理なく、楽しく参加すること」 こんなに熱くて、笑顔が絶えない校長先生がいたならば、きっとまちも学校も、 自然とつながっていったのだろう。そんなことを思った。 と、この前のページで今回の特集は終えるつもりだった。 正直に告白してしまうと、お話を聞きながら「この島の学校でもできるのかなぁ」 なんて思って、どこか他人事で聞いていた自分がいた。友人と、伺った話をまと めながら、もう一回自分の書いたものを読み直してみて、どきっとする。 ・ちょこっと○○できる場所を創ること ・できる人が、できる範囲で、無理なく、楽しく参加すること ん・・・。あれ・・・。 「ひらくことから、距離は縮まった」 ドキ・・・。 「能力を創る必要はない。能力が発揮できる場を創ること。」 ドキドキドキ・・・! これはまさに、僕ら週刊amanaが目指すものだっ。 何も学校現場のお話だけではないんだ。この週刊amanaが、島の内外関係なく、 海士に関わるひと全てが自由に遊べる場としたい。海士で感じたものを、海士 で広めたいものを、ちょっとしたプチ自慢を、ちょっとした愚痴を、何でも表現でき る場としていきたい。 amanaは、作りこんだ ものを提供する、ただのホームページなんかじゃない。 amanaは、場だ。 もっと気軽に自由に表現ができる場が欲しくて、amanaは生まれたのだけど、 そ れでいいのだなと再確認。もっともっと「ひらいた」場にするコツは今回たくさ ん教わった。 このamanaという場を使って、色々と企みを共有したいおっさん、 海士に来てくれた家族、自分を表現したい学生、ゲンキすぎるおばぁちゃん。 あらゆるひとと遊びたい。 それこそが、これからの週刊amanaにとって「ひらくこと」「場を創ること」 そんなことをのんびりやっていけたら幸せだなぁ。 ![]() 宮崎さんは海士町の教育・地域通貨のあり方、あらゆる点において、 海士町に熱い関心を寄せてくれた。そんな宮崎さんが、この島の最 大の強みを「ひと」だと言ってくれた。 この週刊amanaもいつか、この島の魅力を最大限引き出せる、 この島のひとを表現できる場へと発展できたらと強く想う。
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